トップリーグの40チームをカテゴリー分けしてみよう:2020 Stage1,Stage2の比較

1. 序論

 3か月くらい前、トップリーグのStage1が終わったくらいの頃にこんな記事を書きました。

vongole-domingo.hatenablog.com

 トップリーグに所属している40チームについて、プラント指向と選手のキルのばらつきからカテゴリー分けを試みた記事です。いろいろ分け方とか雑だったんですが、それなりに各チームの特徴を捉えることが出来たんじゃないかなと自負しています。

 Stage1では上記の記事のように40チームが分類できたわけですが、Stage2が終わって、各チームの特徴に変化は見られたんでしょうか?シージはシーズンごとのアップデートでメタが大きく変わります。今シーズンについて言えば、最も大きな変化はACEとMELUSIの参戦でしょう。両オペレーターとも強力で、下の図からもわかるように、かなり多くプロシーンでもピックされていました。

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 特に、MELUSIのバンシーソニックディフェンスは防弾系のガジェットであったため、攻撃側からすると破壊しなければいけないガジェットが多すぎて拠点に攻め込む時間が足りない問題、通称「20秒メタ」を大きく進行させてしまったように見受けられます。ほかにも、PING2.0による一方的な情報取得の可能性、スコープの一新による調整など、環境変化が随所で見られ、今シーズンは近年まれにみるメタの変化だったようです。

 メタの変化に伴い、プラント指向やキルのばらつきには変化があったのでしょうか?言い換えれば、チームカラー的なものにメタの変化は影響するのでしょうか?本稿では、上記の記事と同様のデータ収集、分析を行い、Stage1とStage2の比較を行います。

2. 方法

 

 SiegeGGより、2020 Stage1およびStage2におけるトップリーグ40チームのキル数、プラント数、ラウンド数、攻撃ラウンド数を参照しました。

 各選手のキル数をラウンド数で割ったキル/ラウンドを算出し、チーム内でその標準偏差を計算しました。この、チーム内のキル/ラウンドの標準偏差をX軸に取ります。各チームのプラント数を攻撃ラウンド数で割った、プラント/攻撃ラウンドを算出し、これをY軸に取ります。こうしてXY平面の散布図を作り、各チームの数値をプロットしました。

3. 結果

  40チームのStage1およびStage2における散布図は下記の通りです。

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 これだけ見せられても、わかるのはStage2のGUTSのプラント指向がすごすぎるのと、同じくStage2のRogueが全然プラントまでこぎつけられていないということぐらいですね。とりあえず、Stage間で全体的な傾向の変化が見られたかどうか、一つの散布図にまとめてStage1とStage2の数値を載せて検証してみましょう。

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 ・・・どうでしょうか?

 青がStage1、オレンジがStage2の各チームの数値を示しています。こうしてみると、同じエリアに青とオレンジが混在しており、Stage間での変化は存在しないように見えます。

 全体的な傾向としては大きな変化はないようですが、チームごと、地域ごとに見てみるとまた違ったりするかもしれません。そこで今度は、地域ごとにStage間の比較をしてみましょう。

 まずはEU

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 ちょっと見にくくて恐縮ですが、各チームがどこに分布しているか、チーム名とStageを併記しています。こうしてみると、Chaos(Stage1)、Secret(Stage1)といった極端な例を除いて、EUでは基本的にプラント指向が低下していることが見て取れます。BDS、G2、VPといったStage1で高いプラント指向を示していたチームでその傾向が顕著です。Stage2ではStage1と比較して、プラントより殲滅に各チームは寄っていたのでしょうか。

 また、各選手のキルの偏り、すなわち左右の分布を見てみましょう。BDSはわかりやすいですね、Stage2におけるShaiikoの爆発が寄与して、Stage1から見るとStage2のキルのばらつきは相当大きいです。TempraやG2はそれほど左右の位置に変化はなく、NaViやVPは大きく右に動いています。何となく、Stage1からStage2にかけて順位を下げたチームが変化なしで、順位を上げたチームはキルのばらつきが大きくなっているようです。エースプレイヤーの復調、といった要素が垣間見えます。

 次に、USを見てみます。

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 こちらは、EUと異なり、Stage1とStage2で上下の位置、すなわちプラント指向には変化があまりありません。一方、左右の位置はくっきり分かれており、Stage1からStage2にかけて、Tempoを除く各チームでキルのばらつきが小さくなっています。キルのばらつきが小さくなっている、ということは何を示唆しているのでしょうか。素人考えですが、このシーズン間、USにおいては薄く広く拠点を包囲するスタイルから、固まって一点突破するスタイルに多少のシフトがあったのではないでしょうか。個人技での突破からカバーを重視する戦術に切り替わった結果、各人のキルのばらつきが小さくなったのかも。

 ブラジルはどうでしょうか。

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 ごちゃごちゃしていて恐縮ですが、裏を返せば、各チームの傾向が近い地域であるとも言えます。Stage間の左右、上下の位置関係の変化に大きな傾向はなさそう・・・。残念ながら、私の力量ではここから何かを読み取るのは難しかったです。

 最後に、我らがAPAC Northを見てみましょう。

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 GUTSが図抜けたプラント指向であることもありますが、4地域の中で最も各チームの個性にばらつきがあるリーグと言えそうです。散布図全体にプロットが広がっているように見えます。

 ただ、ブラジル同様、ここでもStage間の大きな変化の傾向はなさそうです。チームごとに散布図上での動きは大きいのですが、リーグ全体で動きの傾向が一致しているわけではないというか。Majorに出場する上位チームで言えば、GUTSとCAGはプラント指向を高めてメタに対応しているようですし、GiantsとC9はEUの各チームと同様に逆に殲滅指向を高めています。FAVとXavierはプラント指向に大きな変化はないですが、キルのばらつきが大きくなっています。これはNo2選手、Onigiri選手の爆発に起因していそう。この2チームは選手のレベルアップや順応によって好調をキープしたと言えそうです。

4. 結論

 Stage1からStage2にかけて、大きなメタの変化がありましたが、それにどのように順応したかは各地域によって異なることが示唆されました。

 EUでは各チームが殲滅に寄るようになり、USではカバー重視の戦術への転換が示唆されました。ブラジルは変わらず、APAC Northでは各チームの順応の仕方に差があったようです。コロナ禍で各地域が分断され、ガラパゴス的な成長が生じているんじゃないかな、とぼんやり思っていましたが、その傾向がおぼろげながら見られたんじゃないでしょうか。

なんかまとまりのない文章になってしまいました。あんまり大したこと言えてないですが、ご容赦ください。