CAG対REJECTに見る海岸線へのアプローチの違いの考察:ドローンとファーストブラッドに着目して

1. 序論

 先週再開したRJL、初戦はインビ帰りのCAGの試合ということで注目度が高かったと思いますが、相手であるREJECTの海岸線がCAGにも通用するのか、という見どころもありましたね。結果、7-5と僅差ではありますがREJECTが海岸線を奪取。無敗記録を継続し、CAGにリーグ2度目のマップ黒星を付けました。試合こそ落としてしまいましたが、王者CAG相手に1ptをもぎ取ったインパクトは大きいでしょう。

 そんな海岸線の試合、7-5なので両チームとも6回ずつ攻撃を行ったわけですが、試合を観ていると両者の攻撃のスタイルが両極端であるように感じました。REJECTが海岸線というマップのステレオタイプ、籠って守れないがゆえに広く展開して早めに勝負する防衛、を逆手にとってロックと囲い込みで一人ずつ処理していくゆっくりとした攻めを主軸にしている一方で、CAGはボムに対して割と直接的な速いアプローチを取り、取り切ってから戻りを刈るという攻めをしていた印象です。

 まあ素人の印象論なのでアレですが、そんな仮説を立てつつ、本稿では、観戦画面からわかるドローンの使い方とファーストブラッドのシチュエーションに着目して、両チームの海岸線へのアプローチの違いを考えてみたいと思います。

2. 方法

 Rainbow Six Japan League 2021 【第7節 Day1】CYCLOPS athlete gaming vs REJECTの第1マップ海岸線を観戦し、ドローンの破壊状況とファーストブラッドの発生状況を記録しました。ドローンの破壊状況は残り2分段階でUIを確認することで記録しています。

youtu.be

3. 結果と考察

 結果を下表に示します。

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 残り2分の段階で、CAGは過半数のドローンを壊されていたこと、一方で、REJECTはラウンド8を除いて多くのドローンが試合中盤までフィールド上に生きていたことが分かります。これはREJECTのドローン壊しがうまくいっていたということかもしれませんが、ファーストブラッドの位置を見るに、CAGのドローンの扱い方が良い意味で雑だった証左かもしれません。

 というのも、CAG攻撃時のファーストブラッドを見ると、特に序盤のラウンドがそうなのですが、「REJECTが守っていないところに入って屋内でキルを取る」というシチュエーションが見られました。この試合、ファーストブラッドに限らず、CAGはかなり建物内へのエントリーのタイミング、あるいはボム外に陣取るタイミングが早かったように思えます。初手のドローンは相手の位置を特定するために入れ、結果壊されてしまっても消去法的に「相手がいない位置」を見つけてエントリーして小さく囲い込んでいく、という発想が推測されます。上表にはまとめていませんが、オペレーターピックを見ても、IANA、JACKAL、DOKKAEBIといったドローン以外の情報獲得の手段、あるいはNOMADのようなエリアを制限するオペを用意してきており、初手のドローンは壊されてもいいや的な考えがあったのではないでしょうか。

 一方のREJECT、こちらは初手のドローンを規定の位置に忍ばせ、相手のローミングやラインの変更を観測するという使い方をしていたように思います。USG時代から親の顔より見たNoTimeGG選手のブルーバーの置きドローンをはじめ、マップ全体の要所にドローンを壊されないように置くことが攻撃時のセオリーとなっているのかもしれません。ファーストブラッドの発生ポイント、あるいは発生時間を見ても、マップの反対側から丁寧に抑えつつ、ロックで動いたところを刈り取るような動きを軸にしているように見受けられました。その際、CAGとは異なり、相手がいるところに対して踏み込む動きを指向している気がします。その基本線を見せておいて、ラウンド後半からはsolty選手がNOKKを間に差し込んでくるなど、ラウンド間の駆け引きもすごかった記憶があります。

4. 結論

 どちらのチームも、アプローチの仕方は違えど、マップ全体を使って守るという今の海岸線のセオリーに対して的確なアンチとなる攻撃を持ってきているという印象があります。グーに勝つ手が一つだけじゃない、というのはシージの醍醐味の一つですね。ドローンのリソース状況が分かる今の観戦UIのおかげでこういった考えを巡らせることができるのは本当にありがたいことです。

 ここまで書いてきたこと、所詮は素人が外から見た感想文なので、「ここは違う」的な箇所がいろいろあるかと思います。もしそういったところがあれば、(できれば優しく)ご指摘いただければ幸いです。よろしくお願いします。